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北海道釧路市を拠点に活動する、カヌー・カヤックのパドリングクラブです。北海道カナディアンスラローム選手権大会(通称カナスラ)や釧路川100kmカヌーマラソンを主管しています。

2007年05月06日

■釧路川100kmカヌーマラソン・私的記録(後編)
次の交代ポイント二本松まで移動。二本松とは言っても橋のところではなく、そこからもっと上流の「コッタロ」という案内板が立っているところだ。私のローテーションはそこからゴールまで。

車で走行中、眠い。かなり消耗している。ぼーっとするほど眠い。
コッタロ到着。腹ごしらえ。たぶん待ち時間がかなりあるだろうが、ここで仮眠してしまうと体が冷えてロクなことがない。うろうろと外で体を動かしながら待つ。

例年なら速いチームは12時過ぎにはここを通過する。ところが今回は、1時になろうとしているのに誰も下ってこない。上流の直線区間でよほど風に苦しめられているのだろう。ほかにも何チームかの交代選手が待機しているが、心配そうだ。

1時になってもまだトップ艇の姿すらない。陽子ちゃんが携帯で本部に連絡し、強風でかなり遅れている旨を伝えるが、本部判断は「予定通り続行」。細岡で打ち切りという淡い期待は消えた。覚悟を決めて、ゴールまで漕ぐさ!

トップ艇がようやくコッタロを通過したのが1時5分ころ。19番「どんころHolic」だ。それから10分以上遅れて2位3位艇が通過。つまりトップ艇が独走態勢。ここから二本松橋チェックポイントまで、まだ10分以上かかる。二本松橋足切り時間が午後2時で、それを過ぎるとタイムアウトで失格になる。つまり、コッタロを1時50分までには通過したい。19番発艇からトップまでごぼう抜きしたチームがこの時間なのだから、残りほとんどのチームは二本松2時に間に合わないのではないか。

(あとで聞いたところによると、参加19艇中9艇が時間切れ失格だったそうだ)

【二本松~細岡】
そんな心配をしているうちに、我がチーム到着。着順で6位だか7位だか、思ったよりずっといいペースだ。スターンのHさんが降り、Nさんがスターンに移る。そして私が乗って再出艇。こっからゴールまではもう全力漕ぎだ!

交代なしの2人漕ぎで出場した並木・橋本チームがここで完全にバッテリー切れ。へばっているところを抜き去る。彼らの顔を見て私は堅く心に決めた。この先なにかの事情で「3人目が見つからないんだけど、2人で出る?」と誘われても、きっぱり断ろうと!

我がチームの50mほど前を行くのが17番どんころの五島艇「南富良野ロケッツ」。ルーマだ。どうやらバウのシートが破損したらしく、漕ぎにパワーがない。うちが16番、むこうが17番。つまり同着で並ぶと発艇差の2分負けていることになる。うちが追い抜いて、しかも2分以上の差をつけられれば順位がひとつ上がる。しかし次の交代ポイント細岡で五島さんが降りて超パワフルなセバスチャン選手が乗れば万事休す。セバスチャンの追い上げをかわすことを考えると、4~5分の差をつけなければならない。できるか!? 無理か!?

漕ぐ漕ぐ漕ぐ。何も考えず、とにかく漕ぐ。ろくに前も見ず、ひたすら漕ぐ。前を見たところでどうせ片玉メガネでは流れの変化なんて見えない。
川は激しく蛇行するが、このあたりまでくるともうエディも巻いていない。どこを通ってもたいして変わらないので、カーブではとにかくアウト・イン・アウト。次々あらわれるカーブの頂点を直線で結ぶように、最短距離を取る。大きなカーブで外回りをした五島艇をインから抜き、さらにひたすら漕ぐ。

バウは舟幅が狭くて漕ぎやすいので、どうしてもピッチがどんどん速くなる。スターンのNさんが、それにしっかり合わせてくれている。川岸の林が切れたところでは強い風が吹き付けるが、Nさんが左右の漕ぎ分けでうまくコントロールしている。
やがて五島艇が見えなくなった。2分程度の差はつけられたか。細岡まで、どのくらい引き離せるか。

【細岡~ゴール】
細岡でNさんからHさんにチェンジ。それまでなめらかだったスターンの漕ぎが、ギッコンバッタン揺れて傾く漕ぎになる。同乗者の漕ぎで辛さがこんなに違うものかと身にしみるが、それでは自分の漕ぎはスターンの人にとってどうなのか。恐ろしくてきけない。パワーないし、一定のピッチを保てないし。たぶん自分もスターンを疲れさせているのだろう。

がつがつと漕いでいると後ろから「そんなにがんばらなくてもいいですよ~」と声がかかる。Hさんも相当疲れているのか。

川岸の林がなくなり、吹きっさらしの釧路湿原に出る。風は常に吹いた状態。思ったより強くはないが、それでも舟が大きく流され、あおられる。そのたびにHさんががっつりラダーで抑える。パドルがガンネルに当たる「ガツンガツン!」という音がする。何だこの音は!?Nさんのときは聞こえなかった音だ。ラダーが入るたびにバウの私の漕ぎがずっしり重くなり、ほんとうに辛い。
疲れた。ゴールまでもたないかも。ちょっとがんばりすぎたなあ。

そのときふと、昔どこかで聞いた福島さんの言葉が頭をよぎる。
「人間って、普通は出せる力の30%しか出していないんだよね。
 残りの70%の力が出せるのは、ほんとうに訓練を積んだアスリートだけなんだよ」

むぉぉぉぉ!
俺が「疲れた、もうだめだ」と言っているのは、30%の力を使い果たしただけなんだ!
おらぁ「訓練を積んだアスリート」じゃないけれど、残り70%の力のうち、ほんの少しだけならまだ出せるはずだぁぁぁ!!!!
背筋が半分くらいぶち切れてもいいから、もう少し漕がせてくれい!

最後の力をふりしぼる私たちの横を、セバスチャン選手に交代した17番艇がほいさほいさと抜いてゆく・・・
うああああぁぁぁぁぁ・・・・

湿原の中、スタッフの仕事を終えたSさんが岸から呑気に釣りをしている。Sさんが何やらこっちに叫んでいるが、何と言っているのかわからない。叫び返す余裕もない。スターンのHさんは何やら怒鳴り返している。怒鳴るだけの力があるなら、漕ぎに回せよう!

ゴールだ! ゴールが見えた! Hさんの漕ぎが強くなる。ラストスパート!
着岸し、舟とパドルをスタッフに任せるとヘタりこんでしまう私であった。
がんばった。燃え尽きた。
今年はほんとうに燃え尽きた。余力ゼロ。
結果に悔いなし。

トップと約50分差の5位。4位の「南富良野ロケッツ」とは3分10秒差(シートの破損がなければ、もっと大差をつけられていたはずだが)。
3名中2名が運動不足と中年肥満に悩み、しかも本来のC乗りが1名しかいない我がチームにしては上出来の結果だと思う。
ただ、全身筋肉痛、マメだらけの手、まともに座れないほどの尻の痛みに苦しみつつ、「来年・・・来年は、もう・・・出たくない・・・」。
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